何か干渉する部分を消す

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初学者と見る町田・並木理論*1

内容は保証しません。

 

1. 準備

運動量として、 p_{a} p_{b}を取るような粒子について、

 | \psi \rangle = | a \rangle + | b \rangle

みたいな状態を用意する。

 

で、磁場やら何やらをかけて、これら2つの状態を分け、その先に検出器を置いておく。

つまり、

こんな感じ。

 

検出器Aは、

という感じになっていて、幅 D_aで、目盛りが X_{0a}を指している車が検出器として置かれている。ここに粒子が衝突すると、

というように、粒子は逆向きに運動量 p_aではじき返され、車は運動量を得て動く。この車の運動を観察することで、粒子の運動量を観測することが出来る。

(検出器Bも同じような感じになっている)

 

※なお、 D_a X_{0a}は、ミクロ的な変数とする。

 

2. 計算

ひとまず、検出器Aの方を計算してみる。

車の中心から粒子までの距離を rとし、運動量 p_a p_a = \hbar k_aで書き換えておく。

 r = D_a / 2の地点で、波動関数が全部反射されることになるため、波動関数には

 \phi (r, k) = e^{i k r} - e^{- i k D_a} e ^{- i k r}

のような要素が含まれているはずである*2

 

で、反射前と反射後を比べると、

反射前が k = k_a

反射後が k = -k_a

みたいな感じになるため、それぞれ代入して比較すると、だいたい (-e^{-ik_a D_a})倍になっていることが分かる。

なんかこう、 \langle -k | S | k \rangle = -e^{-ik D_a}的な?*3

 

なので(?)、反射前後の状態の変化を変数 k''で展開したようなヤツは、

 \int (-e^{-ik'' D_a}) | -k'' \rangle \langle k'' | \tilde{k_a}, r\rangle dk''

みたいな形をするような気がする*4

 

ここで、とあるマクロ変数 dを入れて、

 0 = (k'' - k_a)(D_a - d)-(k'' - k_a)(D_a - d)

という恒等式が作れる。

ここから、適当に移項を行って

 k''D_a = k'' d + k_a(D_a-d)+(k'' - k_a) (D_a - d)

とできる。実際のところ、 k'' - k_a \sim 0となっているはずなので、

 k''D_a \fallingdotseq k'' d + k_a(D_a-d)

 

ここに出てくる dは、車をマクロから見たときの長さとする。

ミクロ的な変数 D_aとマクロ的な変数 dを考慮することが重要らしい。

 

で、さっきの式に放り込んで、

 \int (-e^{-ik_a(D_a-d)}) | -k'' \rangle e^{-ik''d}  \langle k'' | \tilde{k_a}, r\rangle dk''

なんか計算をすると*5

 (-e^{-ik_a(D_a-d)})| \tilde{-k_a}, r\rangle

となる。

たぶん、検出器Bも似たような感じになる。

 

で、密度行列の干渉に関わる箇所を計算しようとすると、

 e^{ik_a(D_a-d)}

という項が出てくることになる。

 

3. 特殊な仮定

先ほど、ミクロ的な変数 D_aとマクロ的な変数 dを用意したが、

現実の測定では,マクロ的尺度の上で行われるのだ.マクロ的尺度上の点はミクロ的には(原子サイズよりも)かなり大きな領域を覆っている.したがって、マクロ的測定によってマクロ的尺度上で測る厚さ dと指針位置 Xは,上記の D X_0そのものではなく, D X_0をそれぞれ‘ある幅’ \delta D \delta Xで平均したものでなければならない.

量子力学における観測理論Ⅱ p.40)

 

という訳で、 D dのブレる割合を与える関数 W(D-d)を導入して、

 Wを掛けて、 D積分するという操作

をすることで平均を行うことが出来るはず。

 

さっきの式でそれを行うと、

 \int_{-\infty}^{\infty}(W(D_a - d) e^{ik_a(D_a-d)})dD_a

という要素を含むと言える*6

 

ここで、 k_aがすごく大きいとする。

もっと言うと、 k_a \rightarrow \inftyと見做せるとすると、

 \int_{-\infty}^{\infty}(W(D_a - d) e^{ik_a(D_a-d)})dD_a \rightarrow 0

となる(リーマン・ルベーグの補題)。

 

ということで、この仮定のもとでは干渉に関わる箇所が消えることが示せる。

 

4. まとめ

...計算あってる?

*1:町田茂・並木美 喜雄 (1980)「量子力学における観測理論」『科学』Vol.50, No.12, pp.769-767

町田茂・並木美 喜雄 (1981)「量子力学における観測理論」『科学』Vol.51, No.1, pp.36-45

Shigeru Machida, Mikio Namiki (1980) "Theory of Measurement of Quantum Mechanics: Mechanism of Reduction of Wave Packet. I", Progress of Theoretical Physics, Vol.63, Issue 5, pp.1457-1473

*2: \phi (D_a/2, k) = 0とならないと、粒子が跳ね返らずに箱の中に侵入してきてしまうため

*3:理解していない

*4:正しいものと形が違うのは、私が理解していないためです

*5:なんか積分記号と e^{-ik''d}があるので、たぶんδ関数あたりを経由するんじゃないかと思ったんだけど、自信がない

*6:のか?